花嫁の憧れの衣裳「ウエディングドレス」。
永遠の愛を誓いあう挙式の舞台で身にまとう純白のドレスは、結婚式の定番となっています。
では、何故、ウエディングドレスは「白」なのでしょうか。
今では誰もが「ウエディングドレス=純白のドレス」をイメージしますが、歴史の中でどんな進化を遂げ、今に至っているのかを詳しくご紹介します。
ウエディングドレスが白い理由
実は、チャペル挙式の衣裳は「白でなければならない」というルールは決まっていません。
実際に、19世紀以前の貴族階級では、さまざまな色のドレスを身にまとって挙式に臨んでいたようで、定番カラーは「赤」だったと言われています。
ウエディングドレスの色が「白」として定着したのは19世紀。
イギリスのヴィクトリア女王が結婚式の際に白いドレスを着て挙式を執り行ったのが始まりと言われています。
その衣裳姿が上流階級の貴族の中で広まり、やがては市民の間にも定番になっていきました。
白が意味するものは「富?」
19世紀当時、白の衣裳は宮廷で女王に拝謁する女性が着用する衣裳でしたが、ヴィクトリア女王が結婚式に着用して以降、富の象徴として広まっていくことになります。
というのも、19世紀といえば衣類の洗濯技術がそこまで発達していない時代。
白いドレスを白のまま保っておくことはかなり骨の折れる仕事でした。
上流階級であっても、一度着た衣裳は二度と日の目を見ることがないといった現在のようなことはなく、ヴィクトリア女王でさえ、行事の際に同じ衣裳を何度か身にまとっていました。
そのため、白のドレスを身にまとうのには維持に費用がかかり「富の象徴」として広まっていくことになったようです。
白いドレスは写真映えが抜群
それでも、白いウエディングドレスは結婚式の憧れとして人気が高まり、定着していきます。
そして、上流階級から中流階級、一般市民へと広まっていく中で「富の象徴」というイメージは薄れていき、代わりに「純真無垢」という新たな意味が加えられました。
さらに、別の理由として白のドレスは当時用いられていたセピア調のモノクロ写真にもよく映えたことから、記録として残す意味でも重宝されました。
そうして、流行や憧れ、記録など、さまざまな意味で選ばれる理由となった白いウエディングドレスはイギリスからヨーロッパ、アメリカへと広がっていきます。
現在白いウエディングドレスの意味
現在では、白のウエディングドレスには「清楚」「純潔」「純粋」「無垢」などのイメージが定着しています。
また、「あなたの色に染まります」「邪気を祓う」など、さまざまな意味が込められています。
日本の挙式衣裳として用いられる「白無垢」は、室町時代から武家の娘の婚礼衣裳として用いられていましたが、神様に仕える人の衣裳が「白」だったことから、邪気を祓う色として定着していました。
ウエディングドレスとは別のルーツを辿っている白無垢にも同じイメージがあることから、「白」に対して抱く人の感情は世界共通なのかもしれません。
流行の始まりはロイヤルウエディングから
世界的に人気が高まっていった純白のウエディングドレスはやがて、世界の名だたる著名人の中でも定番化していきます。
各国の女王からハリウッドスターに至るまで、憧れの女性がこぞって婚礼衣裳に「白」を選べば、世界的に「ウエディングドレス=純白」といったイメージになるのも無理はありません。
ヴィクトリア女王を起源に始まった純白のウエディングドレスの流行は、1981年、チャールズ王子とダイアナ伯爵令嬢との結婚式でも続いており、世界中にテレビ中継されることとなりました。
こうして、ロイヤルウエディングをはじめ、さまざまなシーンで白のウエディングドレスが着用され、今では挙式の衣裳=白というイメージが定着しています。
現代のウエディングから見られる多様性
日本人の肌に合う白といえばやや色のついた「アイボリー」と言われています。
また、定番のAラインやお姫様をイメージするプリンセスラインなど、ラインもさまざま。
昨今では、白のウエディングドレスと言っても色やでデザインが豊富に用意されています。
とは言え、赤や青など、白ではない衣裳を身にまとって挙式に臨む人は少なく、挙式の衣裳と言えば「白」を着るのが定番という文化は、今後もしばらく続いていきそうです。
白い衣裳の中で発揮されるさまざまな個性
純白のウエディングドレスのルーツとなった「ヴィクトリア女王」も、当時は「内なる感情を服装にも表したい」と考えたと言われています。
今どきのウエディングドレスは、色やデザイン、ラインなど、さまざまな面から豊富にデザインが用意されていて、自分らしい1着を自由に選ぶことができます。
そして、ウエディングドレスを通して「個性」や「自分らしさ」を表現するのも、ドレス選びの楽しみのひとつ。
こだわりの1着を見つけるために、たくさんのドレスを試着する花嫁も少なくありません。
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